©︎WOODLINK co.,ltd

NEWS TOPICS

「木と人」がスギをつかう理由

  • ブログ

こんにちは。ウッドリンクの多賀です。
みなさんは、「スギ」という木をご存じでしょうか?日本中さまざまなところに植林されていて、春になると多くの花粉を飛散することから、名前については知っているという方が多いのではないでしょうか。
そんなスギですが、実は日本の固有種で海外には存在しません。多くの樹木のなかでもひときわ寿命の永い木で、稀に樹齢数千年という個体もみられます。屋久島(鹿児島県)や立山(富山)のスギ林は有名ですね。
花粉による悪いイメージとは裏腹に、木材としての効能は大変優秀で古くから人々に重用されてきました。

今回はスギの魅力にじっくりと触れていただくために、日本の人工林の現状から木材としての特徴、そして私たち「木と人」が国産材を扱う理由についてお話しします。

1.日本の森林の現状
2.持続可能な社会の実現に向けて
3.「木と人」がスギを使う理由

<1>日本の森林の現状

日本は国土の2/3にあたる約2,500万haが森林という世界でも有数の森林大国です。
そのうち40.8%を占める人工林、その約半分が今まさに伐採時期を迎えています。しかし伐採は進んでいません。
ウッドショックによる木材の価格高騰が問題となりもうすぐ2年が経とうとしています。ピーク時より価格は落ち着きましたが、まだ高い状態は続いています。
需要はあり、資源も充分あるのに伐採が進まない。これには日本の森林が抱える難しい問題が関係しています。

日本の人工林は、戦後の復興需要による木材不足を補うため1950~1960年代に行なわれた「拡大造林政策」によるものです。このときに植林されたのが、スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツなど、成長が早く建築用材に適した針葉樹です。しかしいくら成長が早いといってもすぐには需要に追いつきません。
そこで政府が次に行なったのが木材の輸入自由化です。段階的に進められた輸入自由化ですが、1964年に全面自由化となりました。
輸入木材は国産材と比べて安く、一度に大量の木材を確保でき、かつ供給も安定しているというメリットがあります。輸入量は年々増え、日本の木材業界は輸入木材に依存するようになりました。
そうなると苦しくなるのは日本の林業です。国産材の価格は下がり続け、日本の林業経営は成り立たなくなり、林業従事者は次第に減っていきました。
結果残ったのは、手入れが行き届かなくなり、伐採が追い付かない大量の人工林というわけです。

そのため今回のウッドショックように国産材需要が高まっても、すぐに伐採量を増やすことは難しいのです。
であれば今すぐに、環境の整備や人員の補充を・・・と考えてしまいますが、そうはいかない理由があります。
それは需要の波が来ても一過性のものに過ぎないという考えがあるからです。
実はウッドショックは今回で3回目です。第1次は1990年に、第2次は2006年に起こりました。そのとき一時的に国産材価格は上昇しましたが、ウッドショックが納まるとともに再び下落しました。
このように市場に翻弄され衰退してきた日本の林業は、半ば諦めの境地なのです。

また林業の衰退は、もうひとつ大きな問題をはらんでいます。

<2>持続可能な社会の実現に向けて

手入れが行き届かなくなった森林には何が起こると思いますか?

森林には、枝打ちといって、美しく良質な木を育てるための作業や、間伐といって、森林全体の健康を保つため、混み合ってきた木々の一部を抜き取る作業が必要不可欠です。
このような手入れがなされないと林内は暗くなり、木々の足元の植物も育たず、地面がむき出しとなってしまいます。そうなると土壌が流出しやすくなり、台風での倒木や、大雨による土砂災害が起こりやすくなります。
近年では2014年8月の広島北部の大規模な土砂災害や、2019年の台風15号による大規模停電は記憶に新しいところです。

一方、枝打ちや間伐等の手入れがなされている森林は明るく、木々の足元には植物が育ちます。
そうすると土壌の流出が抑えられ、土砂災害等にも強い森林となり、渇水や洪水を緩和しながら良質な水を育む涵養機能も働くようになります。養分の豊かな土壌から流れ出した水が川や海へ流れ込むことで、豊かな海を守ることにもなります。また森林の持つ炭素吸収・貯蔵効果は、温室効果ガスの削減にも貢献します。

豊かな森林がもたらす恩恵はこの他にもありますが、全ては森林のサイクル「伐って、使って、植えて、育てる」という循環が保たれていてこそ発揮されます。
そのためには持続可能な森林経営、林業で収益を確保できる仕組みづくりが必要です。林業が活性化することは、雇用創出や地域創生にも繋がります。
このように森林の循環利用は、持続可能な社会を創っていこうというSDGsの考え方とも深く関係しています。

この循環を維持するためにも、まずは国産材の需要を高めることが必要です。
「木と人」でも、「木をつかうことは、豊かな社会をつくること」のもとに、国産材普及の取り組みを行なっています。

<3>「木と人」がスギを使う理由

「木と人」は、厳選したスギの国産材を積極的に活用し、内装材や外装材、家具などを製造・販売しています。
スギは拡大造林政策で最も多く植林された木であり、伐採時期を迎えた人工林の多くがスギ林です。
ですが私達がスギを使うのは、このような理由からだけではありません。

スギは素晴らしい効能をいくつも持っています。
香りには快眠効果が、美しい木目には「1/fゆらぎ」と呼ばれるリラックス効果があり、表面に当たった光をやわらげる目に優しい効果も持っています。また針葉樹の特徴である内部に間隙をたくさん持つ構造から、断熱性や調湿性も備えています。
これらは全て、住む人が永い時を共に過ごす住まいにこそふさわしい効能です。

また「木と人」は上質な素材にこだわり、トップクラスの品質を誇るA材を厳選して使用しています。
曲がりの少ないストレートな木目は美しさと強度、そしてなめらかな質感を兼ね備えており、様々なシーンでお使いいただける製品となります。
仕入れでは工場がある富山県を中心に近県から丸太を集め、地産地消を目指しています。
原木仕入れから製材までワンストップで対応し、「木と人」では使えない素材も他の製品へ、木皮や木くずも燃料へと、木を余すことなく使用することで、環境にも配慮した製品づくりを意識し、取り組みを続けています。
製材も行なっている会社だからこそできることでもあります。
これらもまたSDGsの一環です。

 

「上質な木材がもたらす至高の住環境をお客様にお届けする」ことが私たち「木と人」の役割であり、「国産材の魅力を発信し需要を創出することで森林循環に貢献する」ことが、木に携わる企業の使命です。
これからも皆様に選ばれる価値ある製品作りに日々取り組んでまいります。

<まとめ>

「木と人」では、最高素材を心ゆくまで堪能していただくため、常に品質を追求しています。
厳選された原木の確保、熟練された製材技術、そして仕上げの職人技の全てが融合し形となることで、初めてみなさまに届く製品となります。
「原木・製材・仕上げ」全てにこだわり、「木への想い」と「品質へのこだわり」が詰まった地域のスギ製品をこれからもお届けしていきます。