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森林伐採は環境破壊?環境貢献?~木材利用と環境の関係~

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こんにちは。ウッドリンクの多賀です。
みなさんは、木材の利用が地球環境に貢献するということをご存知でしょうか?今日では広く知られるようになりましたが、今でも「森林の伐採=環境破壊」と思っている方が多いのも事実です。森林伐採が環境破壊になるのか、それとも環境に貢献するのかの分岐点は、合法的な伐採であるかどうか、持続可能な森林経営を行っているかどうかに依ります。
店で何気なく手に取った木材製品が環境貢献に繋がるものなのか、環境破壊に繋がるものなのか、私たちには知るすべはありません。
ですが、私たちにもできることはあります。

今回は「木と人」が目指す持続可能な森林利用・木材利用と、一人ひとりができる環境貢献の取り組みについてお話しします。

1.森林とCO2削減
2.木材は持続可能な資源
3.木材の地産地消に向けて

<1>森林とCO2削減

木が地球環境に貢献すると言われるのは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの1つ、二酸化炭素(CO2)を吸収するという優れた機能を持っているためです。
二酸化炭素を吸収して酸素を放出する光合成は、みなさんご存じですよね。では吸収された炭素はどうなるのか、考えたことはありますか。
木は生長する間ずっと炭素を吸収し続けます。伐採されると炭素の吸収は止まりますが、木材として加工され、家の材料や家具に使われている間も炭素を排出せずに固定してくれます。そして役目を終え、燃やされるときに初めて炭素を排出します。

温室効果ガスの削減は世界共通の目標であり、日本でも大きな目標が掲げられています。2021年の気候変動サミットで当時の菅首相により唱えられた、「2030年に温室効果ガスを2013年比で46%削減する」というものです。
2013年の日本の温室効果ガス排出量は14億800万CO2トン、46%削減となると6億4800万CO2トンの削減が必要です。このうち森林に期待されている吸収目標は約2.7%、約3,800万CO2トンの削減です。
スギの人工林1ヘクタールが1年間に吸収するCO2量は約8.8CO2トンですから、430万ヘクタールのスギの森林が必要になります。

では新たに430万ヘクタール分の森林面積を増やさなければならないのでしょうか。そんな必要はありません。
木を伐採した跡地に再植林することで、再度吸収源とすることができるからです。

<2>木材は持続可能な資源

木がCO2を吸収する機能は老齢化すると低下します。人間の新陳代謝が歳をとるにつれて落ちるのと同じですね。
そして今、日本のスギの人工林の50%が50歳を超えています。つまり吸収機能の落ちたスギ林なのです。
(日本の森林の現状については前回のブログをご覧ください。→「木と人」がスギをつかう理由

吸収機能の落ちた木は伐採し新しく植林することで、CO2吸収能力の維持向上が図れます。
また安定してCO2を吸収してくれる森林を保つためには、間伐等を行ないきちんと「育てる」ことも必要です。
継続して手入れを行なうために、健全な森林経営が行なわれる必要があります。

そして「伐って、植えて、育てる」のサイクルを回すためには、伐った木の使い道「需要」が必要です。
しかし伐採した木を燃料として燃やしては、すぐに炭素が還元されてしまい意味がありません。
伐採した木は、木材製品として炭素を固定したまま長く使われることが重要です。

もちろん木は半永久的に使える素材ではないため、やがて焼却・廃棄することになります。その際に発生するCO2はかつて光合成によって吸収したものを再び大気に返す(カーボンニュートラル:炭素循環)ため環境に与えるインパクトは極めて小さいものです。
この「伐って、使って、植えて、育てる」の循環を維持することが、持続可能な環境貢献です。

ここまでの話では木を伐って使うことは「環境貢献に繋がる」と説明してきました。では「環境破壊に繋がる伐採」とは何でしょうか。

<3>木材の地産地消に向けて

環境破壊につながる伐採とは、いわゆる「違法伐採」のことです。森林保護区や所有権のない森林での盗伐、許可された量以上の伐採を行なうなどがこれに当たり、全世界の森林伐採のうち15~30%が違法伐採とされています。主に東南アジアやロシア、アフリカ、ブラジルなどで行なわれていると報告されています。
違法伐採はその後の再植林など考えずに行われるため、「森林伐採=森林消失」となります。森林が消失することは生態系にも悪影響を及ぼし、生息する動植物の減少・絶滅にも繋がります。
また違法伐採木材は、後のことを考えずただ伐採するだけなので低コストで伐採でき、通常より安価で市場に出回ります。そうすると木材市場価格が引き下げられ、正規の業者が本来得られたはずの利益を失い、経営を阻害することにもなります。
これでは健全な森林経営はできません。

このような違法伐採木材を市場から締め出すために、合法的に伐採されたことが確認できた木材のみを取り扱う制度もあります。ウッドリンクでも、クリーンウッド法の登録木材関連事業者となり合法性の確認できた木材のみ取り扱っています。

しかし日本の森林経営を圧迫しているのは、違法伐採木材だけではありません。
前回のブログでも書いた通り、合法的に伐採され輸入される木材もまた安く手に入ってしまうのです。ウッドショックや円安の影響で価格が上昇していますが、それでも国産材の価格と大きな差がありません。

この状況を変え、日本の森林経営を健全な形にするためには、国産材を積極的に利用するしか方法がありません。

ウッドリンクの製材事業では、取り扱う木材は100%国産材となっています。また更に身近な範囲の森林経営の活性化を目指し、「木材の地産地消」の取組みを続けており、現在の木材の地産地消比率は、地産70%、地消60%のレベルに達しています。また原木の消費量はここ3年で15%増えています。今後も国産材製品の市場価値向上を目指し、更なる生産量の増加に取り組んでいきます。

これは製材事業者としてできる持続可能な森林利用・木材利用のための取組みです。
消費者である私たち一人ひとりができる取り組みは、やはり国産材製品を選んで購入することです。
地域経済への貢献は、回り回って私たちの生活を豊かにすることにもなります。木材製品の購入の際には、是非このことを思い出していただけたらと思います。

<まとめ>

森林の伐採や木材製品の利用は、CO2の吸収能力の維持向上、CO2固定量の増加などを通して、地球環境への貢献に繋がります。しかしただ伐採すればいいわけではなく、後の再植林や継続的な森林整備などまで計画的に行なえる森林経営が必要になります。ですが日本の林業はまだまだ健全な森林経営には程遠い状態です。
2021年にはじまったウッドショックを契機に、木材の活用についても国内回帰がすすんでいます。私たちは直接的に林業に携わることができないかもしれませんが、身近にある国産材を積極的に「使う」ことが、日本の森・環境を元気にすることにつながります。
「木と人」でも、みなさんが購入したくなる魅力ある商品をご提供できるよう取り組んでいきます。