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木材利用を広げよう~木外壁の使い方~

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こんにちは。ウッドリンクの澤田です。

みなさんの家の周辺には、外壁材に木を使っている家はありますか?
2022年度の日本の住宅で使われる外壁材の割合は、窯業系サイディングが約80%、ガルバリウム鋼板を含む金属系外壁材が約10%、木外壁は1%にも満たない採用率となっています。
統計データ (nyg.gr.jp)
※データは一般社団法人 日本窯業外装材協会[NYG]HPより参照(円グラフ)

国を挙げての木材利用が進められている中でも、なかなか進まない住宅外壁材への木材利用。そこには、自然環境の中で木材を使うことの難しさがあります。
今回は国が進める木材利用とはどんな内容なのか、また住宅外壁への木材利用についてご説明します。

1.木材利用の促進とは?
2.外壁を木にすることのメリット・デメリット
3.事例紹介

<1>木材利用の促進とは?

2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(木材利用促進法)が施行されました。この法律の目的は、木材の利用の確保を通じて林業の持続的かつ健全な発展を図り、森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与することなどです。これに基づいて、公共建築物における木材利用に関する基本方針が策定され、国が整備する低層の公共建築物は、原則として全て木造化を図る方針が掲げられました。制定から10年で公共建築物の木造率が8.3%から13.8%に上昇しています。

※林野庁HPより抜粋。

さらに「2050年カーボンニュートラルの実現」という目的も加わり、2021年に木材利用促進法を「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」と改訂。対象建築物を民間にまで拡大し、脱炭素化に向けた大きな取り組みとなり、非住宅においても木材利用が徐々に進んでいる状況です。法律の制定もあり、着実に進んでいる木材利用ですが、冒頭にお話しした通り住宅の外壁利用がなかなか進まないのは、外壁に使った場合のデメリットのイメージが強いせいかもしれません。

<2>外壁を木にすることのメリット、デメリット

木を外壁にすることで得られるメリット・デメリット、そしてデメリットの対処法をお話しします。

●メリット
1、デザイン性に優れる
天然木の繊細な質感は工業製品にはない風合いを出します。また天然木は経年変化によって、劣化ではなく独特の風合いとなり、重厚感や高級感を演出してくれます。外壁の一部に使うことで外観のアクセントとしても際立たせることができます。

2、廃版にならない
窯業系や金属系サイディングは既製品であるため、数年経つと廃版になることも考えられますが、天然木の場合は同じ素材として準備ができます。

●デメリット
1、防火上使用できないことがある
窯業系や金属系のサイディング材と比べて燃えやすい性質を持つため注意しなければなりません。「準防火地域」や「法22条区域」と呼ばれる地域では一切使えない場合や制限がいくつかあります。

対処法として、
・国土交通大臣が定めた「防火構造認定」を受けた製品を使う
・延焼ラインにかからない位置への部分使いをする
などがありますが、こちらについても家を建てる際に工務店さんにご相談されることをおすすめします。

2、メンテナンス頻度が高い
天然の素材であるため、紫外線・雨風・空気中のホコリなどが原因で劣化しやすく、伸縮しやすいという特徴があります。天然木は常に呼吸をして伸び縮みを繰り返しており、表面の塗装も割れや剥がれが生じやすいため、こまめに塗装を塗り替える必要があります。割れや剥がれなどで塗膜が破損すると、雨水が侵入し腐食する恐れがあるため、早めに対処する必要があります。

対処法として、
・耐久性の高い木材を使う(エステックウッド、昔ながらの焼杉等)
・雨がかからないように軒の出を長くする
などがあります。

3、施工費用が高い
木外壁の施工は1枚1枚、職人が貼っていく手間がかかります。そのため、材料費そのものは安価ですが、一般的なサイディング施工よりも施工費は高くなると考えておきましょう。トータル費用については木の種類にもより価格は異なりますが、事前に比較されることをおすすめします。

このようにお話ししてみるとやはりデメリットが大きいように感じます。しかし、耐久性向上に向けた技術開発も年々進んでいますし、今後、木外壁の普及が進めば価格も下がっていくことでしょう。

<3>事例紹介

最後に、公共建築物及び一般住宅の事例をいくつか紹介します。
木質化を取り入れた建物は、見た目にもアクセントとなり、おしゃれに仕上がっています。中でも新国立競技場は、木材を取り入れることで周辺環境との調和をめざす、「杜(もり)のスタジアム」をキーワードに挙げ、47都道府県で育ったスギを使用し、木材と鉄骨を使ったハイブリッド構造となっています。これらの施設は外観のみならず、内装にも木をふんだんに使った施設になっています。

※中大規模木造公共建築物事例集(令和4年10月公表)より

小林市東館庁舎(宮崎県小林市)

ぎふ木遊館(岐阜県岐阜市)

※「木と人」カタログより抜粋

新国立競技場/スギ材(写真提供:大成建設株式会社)※ウッドリンク株式会社は国立競技場にスギ材を納入しました。

ウッドリンク株式会社 富山店事務所

エツサス富山モデルハウス

<まとめ>
今、国をあげて促進している木材利用。
森林はCO2を吸収し、固定するとともに、木材として建築物などに利用することで炭素を長期間貯蔵可能です。また、林業・木材産業の活性化を通じて、地方創生につながるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は見た目にもおしゃれになる木外壁の使い方を紹介しました。デメリットの対処方法を採用して、自宅に使ってみるのもよいですね。外観に限らず内装にも使うことで、調湿効果などの効果も期待できます。国産木材利用が地球温暖化防止対策になり、将来の私たちの暮らしに貢献できることを覚えておきたいですね。