©︎WOODLINK co.,ltd

NEWS TOPICS

ちょっとディープな木の世界➁無垢フローリングが反るのはなぜ?

  • ブログ

こんにちは。ウッドリンクの田村です。

昨今、採用する方が増えている「無垢フローリング」ですが、「無垢フローリングは反りやすい」「すき間が生じやすい」という話を耳にされたことはありませんか?「新築時は良かったのに!」とならないように、木材の特性を十分に理解して採用する必要があります。

今回は、木材が反る理由をディープに解説し、最後にスギ・ヒノキフローリングの反り、すき間の実例を紹介します。

<1>木材が反るのはなぜ?
<2>無垢フローリングの反りを抑える方法はある?
<3>スギ・ヒノキフローリングの反り、すき間の実例紹介

<1>木材が反るのはなぜ?

木材が反る理由には、熱、経年劣化、荷重のほか「水分」が大きく影響しています。
木材には、湿度に合わせて湿気を吸収したり放出したりを繰り返す「調湿作用」があり、この調湿と同時に木の形状も「湿気を吸収するときに膨らみ、放出するときに縮む」という変化を起こします。無垢フローリングは天然木を一枚の板に加工した床材のため調湿作用の効果が高く、木材の形状変化も起こりやすいのです。
また、無垢フローリングには、大きく分けて「板目材(いためざい)」と「柾目材(まさめざい)」の2種類があり、主に反りが発生しやすいのは「板目材」になります。板目材と柾目材の見分け方は図1の通りで、板目材はランダムな曲線模様なのに対し、柾目材は木目が直線状に流れるのが特徴的です。これらは丸太から取れる場所によって使い分けられます。板目材の場合、湿度が下がる冬になると図1のように凹むような形で変形するため「フローリングが反ってきた」「すき間が気になる」といった現象が起こりやすくなります。板目材と柾目材の反りやすさが異なる理由は<2>でお話します。

<2>無垢フローリングの反りを抑える方法はある?

結論から言うと、自然素材である木材の反りを確実に無くすことはできません。
ただ、木材の樹種、板の種類によって反りやすさの違いは多少あるため、反りにくい材料を選ぶことは可能です。

・反りにくい樹種

一般的に、比重が重く高密度である広葉樹の方が、針葉樹よりも反りにくいと言われており、広葉樹にはオーク、メープル、ウォールナットなどがあります。逆にスギやヒノキ、パインなどの針葉樹は比較的反りやすい特性があります。
ただし、反りにくい樹種=硬くて重いという特性があり加工や施工が難しい場合や、無垢フローリング特有の断熱性(触った時のあたたかさ)は広葉樹より針葉樹の方が高いため、それぞれの性質を理解したうえで総合的に判断し、適切に使い分けることが大切です。

・反りにくい厚み

無垢フローリングの厚みは15㎜がスタンダードですが、30㎜などの厚めのタイプを選ぶことで反りにくくなります。薄い板に本をたくさん載せるとたわみやすいのと同じように、板の厚みを増すことで形状変化を抑えることができます。

・反りにくい板の種類

<1>でお話した通り、板目材に比べて柾目材の方が反りの発生は抑えられます。その理由は、板の年輪や繊維方向によって収縮や膨張の程度が異なるからです。
少しディープな話になりますが、木材は木目の方向や場所によって収縮する方向や収縮のしやすさが変わります。一般的に、木材の反りは板の表と裏(木表と木裏)の繊維形状の違い(収縮率の違い)によって発生します。収縮率は木材の芯(年輪の中心)から遠いほど高くなります。つまり板目板の場合、どこから木取りしても必ず木表側の収縮率が高くなり、木表と木裏の収縮率の違いによって反りが生じます。一方で、柾目材は木表・木裏の収縮率がどちらも同じであるため反りが発生しにくくなります。

しかし、柾目材は一本の丸太からとれる量が少ないため、板目材に比べてコストが上がりますし流通量も少ないことから板目材を採用する方が多いのが現状です。「木と人」では柾目材を幅はぎ接着することでコストを抑えながら木材の収縮を抑えた商品も製造・販売しています。

「木と人」フローリングページはこちら

<3>スギ・ヒノキフローリングの反り、すき間の実例紹介

実際、無垢フローリングの反り、すき間ってどの程度なのでしょうか?今回は木材の中でも反りやすい樹種に該当する、スギとヒノキの板目フローリングで反りとすき間の状態を冬に撮影してみました。

結果、15㎜のヒノキフローリングには若干の反りが見られ、30㎜のスギフローリングは撮影時点で大きな反りは発生していませんでした。隙間はどちらも2㎜程度発生していましたが床材として大きな問題はありませんでした。

断熱性や、やわらかい質感、香り、優しい見た目など、多くの魅力がある無垢フローリング。無垢フローリングを採用される方の多くは、反りやすき間の心配よりも天然木ならではの魅力に惹かれている方が多いです。季節によって変わるフローリングの見た目や足触りも木材の特性の一つとして楽しんでみてはいかがでしょうか。

<まとめ>

フローリングが反る理由は、木材の特性である、湿気に合わせて水分を吸収したり放出したりを繰り返す「調湿作用」によって木の形状が「湿気を吸収するときに膨らみ、放出するときに縮む」という変化を起こすからです。
自然素材である木材の反りを確実に無くすことはできません。ただ、木材の樹種、板の種類によって反りやすさの違いは多少あるため、反りにくい広葉樹を選ぶ、板の厚みを増す、柾目材を選ぶ、などで変形を抑える方法はあります。しかし、経年変化を楽しめるのは無垢材ならではの魅力です。木材の性質を理解したうえで総合的に判断し、適切に使い分けることで素敵な家づくりができると良いですね。

「木と人」のフローリング商品ページはこちら