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塗装選びのポイント~外壁編~

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こんにちは。ウッドリンクの田村です。

家の外装選びは、数十年と暮らしていく家の印象を左右する重要なポイントですよね。
木造住宅の外壁材には、窯業系や金属系、樹脂系などの種類がありますが、天然木を使った外壁も根強い人気があります。
一方で、四季の移り変わりによる寒暖差が大きい日本では、屋外で木材を使用する場合のリスクや注意点を把握しておくことが大切です。木材を保護する「塗装」の選び方や役割は屋外と室内とでは異なります。
今回は、「外壁材」についての塗装選びのポイントや塗装を長持ちさせる工夫について解説します。
(内装材の塗装についてのブログはこちら)

<1>木材の外壁に塗装は必要?
<2>塗装の選び方
<3>木の外壁って本当に長持ちするの?

<1>木材の外壁に塗装は必要?

屋外で木材を使用する場合は以下のリスクを知っておく必要があります。

・高温多湿な環境による腐食
・紫外線による変色 等

では、木材の外壁に塗装が必ず必要かというと、そうではありません。
そもそも外壁材に塗装をする主な理由は「外壁材を雨風や紫外線から保護する (劣化を遅らせる)ため」です。新築から10年以上経過すると、経年変化によって色あせや汚れ、カビ等が目立ってくるため、定期的に塗装をすることで新築時の美しさをできるだけ長く維持することができます。

木材は他の外壁材に比べて見た目の経年変化が起こりやすい素材ですが、これを「味」と捉えるか「劣化」と捉えるかは人によって感じ方が異なるため、できるだけ新築時の状態を維持したい(変化を抑えたい)場合は塗装を、木材の自然な変化を楽しみたい(変化を受け入れる)方は無塗装でも良いかもしれません。

では「木材を塗装しないまま使うとどのように変化するのか」というと、以下の写真のようにシルバーグレーに変化していきます。変色が許容できれば無塗装の方が安価で維持管理も楽になります。

<2>塗装の選び方

種類

木材の外壁に適した塗料は大きく分けて2つあります。

<浸透タイプ>
特徴   :木材の内部に塗料を浸透させる
仕上がり :木目が残る
メリット :木材の内部まで保護できる/防カビ性の成分を含む製品が多い
デメリット:耐用年数が短い

<造膜タイプ>
特徴   :木材の表面に塗膜を形成する
仕上がり :木目が残らない
メリット :耐久性が高い/撥水性が高い
デメリット:塗膜がひび割れしやすい

木目を活かす浸透タイプの塗料は、塗装すると木材内部まで塗料の成分が浸透するため、木材の劣化を防ぐ効果が高いのが特徴です。しかし、塗装した木材の表面に水分が付着して湿ったり乾いたりする状態を繰り返すことで保護効果が薄れ、耐水性は造膜タイプより早く低下してしまいます。
造膜タイプは、木材の表面に塗膜を形成して保護することで耐久性を発揮します。一方で、木材の劣化より塗膜にひびが発生すると、水が染み込みやすく木材の内部から腐食していくケースがあります。造膜タイプで塗装する場合に多いのは、色を変えてイメージを一新したいときなどです。造膜タイプはペンキをベタ塗りしたような仕上がりになるため、劣化状態がひどい場合や傷を隠したい場合にも使われます。

「木と人」では、木材内部まで塗料の成分を浸透させ木材の美しい木目や自然な風合い、温もりのある手触りを残す浸透タイプの塗料を推奨します。

スギは経年変化でシルバーグレーに変化していきます。最初から古色(グレー)に近い色にすることで表面の色が落ちてきても違和感が少ないです。見た目の変化を小さくしたい場合は黒・白といった無彩色や茶系を選ぶと良いです。当社の事務所は浸透タイプの「ライトブラウン」で塗装し約2年半が経過しました。近くで見ると色は落ちてきましたがブラウンの色味は残っています。

<3>木の外壁って本当に長持ちするの?

「木の外壁って早く劣化するのでは?」と思われる方、多いですよね。
なぜ木は劣化しやすいイメージを持たれているのでしょうか。答えは「腐朽(ふきゅう)」によるものです。腐朽した木材は黒ずみや変色し、さらに腐朽が進行するとひび割れ、最終的に崩壊してしまいます。腐朽に対して対策が取られていない木材を見た人は「汚らしい」「古臭い」といったイメージがついてしまったのかもしれません。しかし、歴史的建造物からも分かる通り、木材の耐久性は他の人工的に作られた素材よりも長く無塗装のスギ板で30年以上は持つと言われています。

では、問題となる「腐朽」をさせないためにはどうしたら良いのか。2つご紹介します。

雨にぬれにくくする

軒を長めに出したり、玄関やバルコニーの内側などの雨が直接当たらない部分に採用することで雨にぬれにくくすることができます。木材が腐朽する条件は、腐朽菌・栄養・空気・水です。これらの条件が揃うと木材は腐ります。一時的な雨では表面は濡れますが内部まで水が入り込むことが少なく、次第に乾いていくため問題ありません。ただし雨に濡れた状態が長く続くと内部まで水が入り腐朽しやすい状態となるため、乾いた状態をできるだけ長く保つ事が大切です。また外壁はウッドデッキなどより水が長時間溜まりにくい場所であるため過度な心配はいりません。神社などは軒を長く出し雨から建物を守っているため何十年もメンテナンスなしで良好な状態を保っています。

改質木材を使用する

雨がかり部分(長時間雨がかかる場所)に使用する場合などには、木材の劣化を抑えるための防腐・防蟻処理を行った「エステックウッド」や「AZN処理木材」を使用することで耐久年数が長くなります。

<エステックウッド>
特殊な窒素加熱処理を行うことで木材の持つ腐りやすい成分(ヘルロース)を分解し、養分や水分の少ない状態を維持することで薬剤を一切使用せずに高い耐久性を実現することができます。耐久年数は建築環境により変わりますが40年以上となります。

<AZN処理木材>
木材内部まで均一に薬剤を浸透させることで確実に木材の防腐・防蟻効果を発揮します。

当社の事務所にはAZN処理を行った木材を採用しています。雨がかかりやすい東側の方が色の変化はありますが腐食やカビは見られませんでした。

<まとめ>

天然木を外壁に使用する場合は腐食や紫外線等のリスクを知っておく必要があります。
外壁材に塗装をする主な目的は「外壁材を雨風や紫外線から保護する (劣化を遅らせる)ため」です。新築時の状態を長く保ちたい方は塗装をおすすめします。変色が許容できる方は無塗装の方が安価で維持管理も楽になります。塗装には木材の内部まで浸透させる浸透タイプと木材の表面に塗膜を形成する造膜タイプの2種類があり、「木と人」は木材内部まで塗料の成分を浸透させ木材の美しい木目や自然な風合い、温もりのある手触りを残す浸透タイプの塗料を推奨します。さらに、防腐・防蟻処理を行った木材を使用したりすることで耐久性を高めることができます。
「木と人」では、防腐・防蟻処理を行った「エステックウッド」や「AZN処理木材」の販売も行っております。建物の雰囲気や用途に合わせて塗装や仕上げ方法をお選びください。

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